本日ご紹介するのは、
『役員兼従業員に支払う賞与の注意点』です。
役員兼従業員(法人税では「使用人兼務役員」と言います)に対して支払う賞与は経費にすることができます。
これは、その賞与が役員としてではなく、従業員としての職務に対して支払われたものであると解されるからです。
使用人兼務役員に賞与を支払う場合には、注意する点があります。それは、賞与の支給基準を他の従業員と同じ基準にして支給するという事です。
(因みに、使用人兼務役員の例としては、支店長、工場長、営業所長、支配人、主任等法人の機構上定められている使用人たる職務上の地位をいう。と法人税通達にあります。)
例えば、A取締役支店長(使用人兼務役員)とB支店長(使用人)がいたとします。Aは社長の親族ですが、Bは違います。AとBの成績は差がありませんでした。
こういった場合、AとBの賞与は同額にしなければなりません。もしA>Bとなった場合には、その理由が必要となり、認められなければ、AとBの賞与の差額が(全額じゃありません)経費として認められないものとなります。
なお、小規模な会社であれば、特例も認められ、賞与を支給された人が役員であっても代表取締役等でなければ使用人兼務役員として取扱う規定もあります。
しかし、どの程度が小規模であるかについては、特に定められていません。
皆さんもこの規定を適用する場合には、税理士さんにご相談ください。
(使用人としての職制上の地位)
法人税基本通達9-2-5
法第34条第5項《使用人兼務役員》に規定する「その他法人の使用人としての職制上の地位」とは、支店長、工場長、営業所長、支配人、主任等法人の機構上定められている使用人たる職務上の地位をいう。したがって、取締役等で総務担当、経理担当というように使用人としての職制上の地位でなく、法人の特定の部門の職務を統括しているものは、使用人兼務役員には該当しない。
(機構上職制の定められていない法人の特例)
法人税基本通達9-2-6
事業内容が単純で使用人が少数である等の事情により、法人がその使用人について特に機構としてその職務上の地位を定めていない場合には、当該法人の役員(法第34条第5項かっこ書《使用人兼務役員とされない役員》に定める役員を除く。)で、常時従事している職務が他の使用人の職務の内容と同質であると認められるものについては、9-2-5にかかわらず、使用人兼務役員として取り扱うことができるものとする。